ウェディングドレス

曇り時々雨。

寒の戻り。『ダウントン・アビー』ファイナルシーズンのdisk1。カーソンとヒューズの結婚。メアリーとマシューの結婚の時にも話題にされていたが、結婚前夜に新郎新婦が顔を合わせるのは不吉である、という俗信はどこから来たものだろう。

手元にあったI・オウビー/M・テイタム『英語 迷信・俗信事典』によると、この俗信の口頭での初出はアバディーンの14歳の少女(1952)だが、『ダウントン・アビー』の舞台設定は戦間期なのでかなりずれがある。一方で、藤高邦宏『英米人の迷信・俗信考』はもう少し詳しくこの俗信について記述していて、まずウォルター・スコットの『モントローズ奇譚』(1812)から次のように引用する。

It had been settled that, according to the custom of the country, the bride and bridegroom should not again meet until they were before the altar. (ch.23)

モントローズ奇譚』は17世紀のイギリスの内戦に材を取った歴史小説だから、オウビー/テイタムの言う初出からはずいぶん遡ることになる。もちろんスコットが初出という訳ではないのだろうが。ただ、いずれにしても、なぜ花婿が花嫁を結婚前夜に見てはいけないかという肝心な点については、感動を先延ばしにすることで晴れの儀式に劇的効果を与えるから、とか、政略結婚の多かった時代、事前に顔合わせをすると花嫁に失望した花婿が逃げてしまうから、など諸説ありよくわからないようだ。